ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「さらば、行きずりの人よ」


日本/公演中/劇団B級遊撃隊(佃典彦作、神谷尚吾演出)


一本の遊歩道で、「他人」との距離感に迷う人々を描く。名古屋の劇団「B級遊撃隊」による最新公演です。
"絆"という言葉が氾濫した昨今、佃典彦はそんなものは一方通行だと喝破する。けれども否定はせず。一方的でも、ほんの少しだけでも、「誰かを思う」ことで日常は特別な日となる。冷たいんだけれど温かい、なんとも形容し難い独特の空気感のなかで、その重くない繋がりが素直に嬉しかったです。佃作品を観るのは二度目になりますが、彼の描く現代感覚は非常に共感するところが多いなとあらためて思いました。欲を言えばあと一週間後に観たかった。時期を選ぶ作品だと思います、でも良作。
上演が終わった瞬間に客席の緊張感が一気に緩むのが伝わってきて面白い。これは何よりも強い"行きずりの人"との繋がりかと。