ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「秋刀魚の味」

秋刀魚の味 [DVD]
日本/'62年製作/小津安二郎監督


早々と妻を亡くした男が友人たちと酒を酌み交わしながら一人娘を嫁がせるまでを描く。NHKBSの「山田洋次監督が選んだ日本の名作100本〜家族編〜」で選ばれた作品です。小津映画は実は初めてだったりします。
放映されてから半年は放っておいたのも、なんか古くさそうで淡々としてそう、という思い込みが強かったからで。反省します。非常に良かった。正面からの構図が多用されるのと台詞回しがしっくりこないので入り込むのに少々時間がかかりましたが、とにかく惹きつけられるのです。染み入る、というとこの感覚に近いのかしら。ユーモアにあふれ愛情にあふれ。「なんか良い一日だったな」と思わせてくれる映画でした。
笠智衆の朴訥さがあり、中村伸郎のクセがあり、北龍二の脂っこさがあり。この友人同士の掛け合いが好きでした。このおっさんらはいい年してまるで学生のよう。