ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「運動靴と赤い金魚」

運動靴と赤い金魚 [DVD]
イラン/'97年製作/マジッド・マシディ監督


一足の運動靴を貸し借りする貧しい兄妹の姿を描く。稀にみる名作揃いだった年のアカデミー外国語賞ノミネート作品です。
「イラン」という国の勝手なイメージで観ていると、突如出現する高級住宅街を見てハッとさせられます。当たり前といえば当たり前なのですが、セピア色の風景からビビットなカラーに一変することで貧富の差というものが象徴的に語られているように思います。それは重要なアイテムである運動靴しかり。それでも、豪邸に住む男の子と主人公が一緒にブランコに座っているだけのシーンに、貧富の差ではなく細やかな感情を描いた監督の愛情を感じました。
抑えた演技で感情のブレを見事に表現した子役の勝利。父親役アミル・ナージが人間臭くて好きです。