ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「罪」

日本/'10年公演/アル☆カンパニー(蓬莱竜太作・演出)


温泉旅行に来た家族が互いに心の声をぶつけ合い再生していく。平田満・井上加奈子夫婦によるユニット「アル☆カンパニー」が「モダンスイマーズ」の蓬莱竜太を迎えた公演です。初見。
ひとつのジグソーパズルをキーアイテムに、バラバラだったピース(家族構成員)を丁寧に拾い合わせていく構成。知恵遅れの息子をもつというのは「誰が悪い」のか。「幸せな家族」は仮面なのか。その問いは、互いに愛情をもって接していることがわかっているからこそ、だからこそ非常に重く提示されます。現実では語っておらず、という脚本の妙が僕の中ではひとつの救いでした。良作でしたがこういう作品を好んで観ようとは思わない。
演技派4人。平田満、井上加奈子、黒田大輔占部房子。小さな感情の振れで観客を引き込む、その気魄に呑まれます。