ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「アテルイ」

日本/'02年公演/劇団☆新感線(中島かずき作、いのうえひでのり演出)


古き時代、大和の征夷大将軍坂上田村麻呂蝦夷の長・阿弖流為の2人の英雄の物語。過去の新感線作品で互いに主役をはった市川染五郎×堤真一の2本柱でおくる「いのうえ歌舞伎」真骨頂であり、中島かずき岸田國士戯曲賞を受賞した作品です。
歴史の授業で聞き知っていた田村麻呂と阿弖流為の戦い。教科書では数行で片付けられる話がこのような荒々しく切なく潔い男たちの物語であるとは。かなりオカルトチックではあるものの昔は祟りや怨霊が現実に罷り通っていたことは史実であり、それもまた事実か。あれだけやっても嘘っぽさは全然ありませんでした。民族が大和であれ蝦夷であれ、自分を貫く生き様は素直にかっこいい。
果てしなく新感線。ド派手な音照効果にネタの音照効果。見得を切りながらも落とすところは落とす。2人の看板に対して2本の花道、これぞ。植本潤の艶っぽさは異常です。橋本じゅんは面白いがそれに表情を一切崩さない粟根まこともステキ。