ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「羅生門」

羅生門 [DVD]
日本/'50年製作/黒澤明監督


ひとつの殺人事件を通して身勝手な人間の本質を描き出す。ヴェネチア国際映画祭金熊賞およびアカデミー賞名誉賞(現・外国語映画賞)受賞と海外で評価の高い作品です。
各自自分可愛さで事件を語るが故真相はどうなのか、わからないまま映画も終わります。証言者に嘘をついてる雰囲気は見えません。言ってる内に本当にそうだったかのように思えてくることは自分にもあります。その"恐さ"。さらに人間の抱える闇の部分を"恐ろしい"という男もまた闇を持っている、このパンチは中々強烈でした。
この映画は芥川龍之介の小説「藪の中」が原作となっていますが、それを羅生門の下で語らせるという脚本。勿論同じ芥川の「羅生門」を意識してのことでしょう。人は信じられない、ただ黒澤はそれでも信じたいと説く。それが理想論ぽくなくて好きです。