ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

メットガラ ドレスをまとった美術館

メットガラ ドレスをまとった美術館(字幕版)
米/’16年製作/アンドリュー・ロッシ監督


メトロポリタン美術館で開催されるファッションイベントを通じて、アートにおけるファッションの位置を探るドキュメンタリー。
ファッションはアート足りえるかとの問いに対し、そういう場合もあると答えるのは容易い。この映画では、ファッションは産業であることを立地点とし、どれだけ純粋なアートでもお金とは切り離せないことを際立たせる。つまり、ファッション側からアートを刺している。そんなギラギラした貪欲な挑発が、アートを刺激しているのだ。
プラダを着た悪魔』のモデルになったという雑誌「ヴォーグ」編集長アナ・ウィンターがメインのひとり。圧倒的存在感。

てんぷくトリオのコント

日本/’14年公演/こまつ座ラサール石井作、青木豪演出)


こまつ座の座付き作家・井上ひさしと劇団代表である娘とのやり取りを交えながら、てんぷくトリオの往年のコントを蘇らせる。
つまるところ、井上ひさし論であり、亡き後のこまつ座論でした。もちろんこまつ座作品とはいえ井上戯曲ではないのでどうしても物足りなさを覚えてしまうし、井上の筆がベースとなっているコント自体も時代の経過に耐えられないものが多かったものの、こういったかたちでの記録と研究、そして伝承はありだと思います。評論版とかエッセー版とかも観てみたい。
役者のやるコントと芸人(我が家)のやるコントは、全く感触が異なるのが興味深い。

Believe2023 六人の覇王

日本/’23年上演/名古屋おもてなし武将隊事務局(西田シャトナー作・演出)


名古屋おもてなし武将隊」が時空のゆがみに巻き込まれタイムスリップするなか、時のいたずらで叶わなかった真の覇王を巡る闘いが幕を開ける。名古屋観光のコンセプト団体が西田シャトナーを招いた作品です。
シャトナーの代表作『Believe』だったかと問われればそうではなかったけれど、かつての武将が現代に蘇ったという既存コンセプトをフルに活かした設定変更は非常に良かったし、インド映画でのミュージカル部分のように入れざるをえない演舞にも必然性があったし、きっと運営事務局以上にコンセプトに忠実であろうとしていたのではないかしら。そういう誠実さに惚れる。
パワーマイムは少なめながら、巨大ロボまで出てくるシャトナー節をやり遂げた武将隊に拍手。