ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「重力ピエロ」

重力ピエロ 特別版 [DVD]
日本/'09年制作/森淳一監督


重い過去を背負った兄弟の復讐と家族愛とを描く。伊坂幸太郎の同名人気小説を映画化したものです、原作は未読。
被害者が加害者へと変わる心の闇。家族の深い愛情に救われる、と書くと陳腐な感じもしますが、まあそんな作品でした。ただ何故"許される"のでしょうか。警察や裁判官なんかにわかられて堪るか、というような台詞がありましたが、それはおかしい。被害者には被害者なりの理屈があるのならば裁判官には裁判官なりの倫理があるはず。決めるのは自分じゃない。最後の笑顔が僕には自分勝手な解放に思えて萎えました。
加瀬亮のまなざしと小日向文世の包容力が本当の"救い"であり、それ以上を望むのは一種のおごりだと思います。最後の小日向の温もりがこの映画の全てでした。