ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

ラ・ボエーム

日本/公演終了/藤原歌劇団(G・プッチーニ作、岩田達宗演出)


パリの屋根裏部屋で共同生活をおくる貧しい詩人が、訪ねてきたお針子と恋に落ち、永遠の別れを迎えるまでを描く。公益財団法人日本オペラ振興会西洋オペラ部門である「藤原歌劇団」の愛知公演、初観劇です。
感想、後ほど。。。

男たちの挽歌

男たちの挽歌(字幕版)
香港/’86年製作/ジョン・ウー監督


犯罪組織の顔役だった男が弟のために過去を清算する。
香港ノワールのはじまりといわれるジョン・ウーの美学が匂う作品。白黒トーンの色味に、スローモーションを多用したアクションシーンと、友情や兄弟愛を謡いあげる演歌調の物語がこってりと描かれ胸やけ気味です。一番大切な人に自分を認めてほしいということかなと解釈。一度捻じれたからといって戻らないものではない。暴力的な場面が続くも徹底した人間讃歌であり、観終わった後のスッキリ感も良し。
チョウ・ユンファとテイ・ロン、弟にレスリー・チャン

スラップ・ショット

スラップ・ショット (字幕版)
米/’77年製作/ジョージ・ロイ・ヒル監督


低迷するアイスホッケーチームが奇抜な方法で人気を取り戻す。
チーム所在地の工場は閉鎖され失業者増加で観客減、チームは解散見込み、選手は廃業目前という最大の危機に選んだ起死回生の一手が、まさかの乱闘騒ぎ。ホッケーなんてお構いなしの罵り合いと殴り合いにより流血を期待するファンが増えていくのは、ブラックジョーク的でグロテスクな爽快感。スラップスティックコメディはあまりなじみがないのと、どの立ち位置から観るかによって受ける印象の異なる作品だと思います。
軽薄なポール・ニューマン

世界名作劇場・完結版 母をたずねて三千里

世界名作劇場・完結版 母をたずねて三千里 [DVD]
日本/’00年製作/高畑勲監督


イタリアからアルゼンチンに出稼ぎに出た母を探す少年の波乱万丈の行程を描く。テレビアニメの世界名作劇場を再編集した劇場版です。
日本アニメーション時代の高畑勲宮崎駿ら後のスタジオジブリを形成するメンバーが多く参加していた作品。1年クールの映像を90分に編集したことで猛ダッシュ感は否めませんが、それでも泣けます。ひたむきな少年に対しこれでもかと起こるトラブル・アクシデントの数々にハラハラしどうしでした。冷たくあたる人がいても、心通う人もいる。つまり、渡る世間に鬼はない。
主人公マルコ役に松尾佳子

茄子 アンダルシアの夏

茄子 アンダルシアの夏 [DVD]
日本/’03年製作/高坂希太郎監督


スペインを代表する自転車レースに出場する選手が抱える地元への愛憎を描く。黒田硫黄の短編漫画をマッドハウスがアニメ化した作品です。観るのは2度目。
乾いた大地とそこに漂うヒリヒリ感を楽しむ大人のアニメ。華々しい大レースの主役は自分ではなく、錦を飾るはずの実家ではかつての恋人と兄との結婚式が開かれている。集団を飛び出しひとり孤独に逃げ続けるレース展開が主人公の境遇と心境に重なる構成の妙は、彼が振り切りたい故郷は彼を拒んでいないということで更に深みを増すのです。まるで郷土そのものである茄子の漬物のように。
人気急上昇中だったころの大泉洋

天気の子

天気の子
日本/’19年製作/新海誠監督


雨の続く東京を舞台に、家出少年と天気を操る少女とが織り成すラブストーリー。『君の名は。』で国民的作家になった新海誠の次作です。
半径数メートルの範囲で世界がまわっているかのような、いわゆるセカイ系の到達点のような作品。その狭い視野とご都合主義に辟易することが多い印象ですが、この映画においては今日日の絆やら自粛強制やらの「空気」に対して「自分勝手に生きていい」と言い放つ、一皮むけた強烈な反抗であり声援であると捉えました。できれば青春の一言で片づけられてしまう少年少女に託さずに叫んでほしかった。
醍醐虎汰朗と森七菜。

海外特派員

海外特派員 [DVD]
米/’40年製作/アルフレド・ヒッチコック監督


第二次世界大戦前夜のヨーロッパで、特ダネを追う海外特派員が陰謀に巻き込まれる。
情報を制したものが勝利するというのは戦争の鉄則。情報を得るたえには例え犯罪行為であっても、それぞれの信ずる「正義」の名のもとに遂行されるのであるからややこしい。少し詰め込み過ぎで大味な展開なのは否めませんが、追い続けるジャーナリズムを称賛しつつも恋人のためならそれすら捨てるということが勝るお国柄はすごい。ところで、以前に観たことがあるのにまったく覚えていなかったことに驚愕。
ジョエル・マクリーとラレイン・デイ