ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

妻への家路

妻への家路(字幕版)
中国/’14年製作/チャン・イーモウ監督


文化大革命が終わり帰ってきた元政治犯の夫と、彼を認識できない記憶喪失の妻との時間と距離。
帰宅を待ち続ける最愛の人の隣に他人として居続けるその心境たるや。時代に翻弄されたと片付けてしまえば簡単ですが、その言葉の向こう側には生きている人がいて。直接的な表現を避けて様々なことがじんわりと浮かび上がるからこそ、誰を恨むのではなく、誰を責めるのではなく、寄り添うことを選んだ男と、両親を見守る娘に、観る者も寄り添えるのだと思います。
表情と佇まいで演技するコン・リーとチェン・ダオミン。