ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

掬う

日本/’19年公演/□字ック(山田佳奈作・演出)


病床の父親をめぐって浮かび上がる「家族」の在り方。□字ック、初鑑賞。
心の濁ったところを”掬う”かのように、ずっしりえぐりにくる人間ドラマ。自分のことしか考えられない不器用な家系が、家族だからという理由で”他人”のことを考えないといけないシチュエーションに身を置かざるをえなくなる、その心身のストレスたるや。家の雨漏りのように、零れて、溜まった思いが、決壊し、溢れ出す。望んで/望まずなった「家族」は、すべてを忘れる能力でこれからも付き合っていかざるをえない。
いっぱいいっぱいの作家役に佐津川愛実。