ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

機械と音楽

日本/’19年公演(再演)/serial number(詩森ろば作・演出)


ロシア革命前後に起こった芸術運動「ロシア・アヴァンギャルド」のなかで理想と現実の狭間に揺れた建築家たちの物語。風琴工房あらためserial numberは初鑑賞です。
共産主義社会主義の違いすらままならなず、およそ30年前ソ連とともに崩壊したと認識しています。それほど何も知らない時代の、熱き芸術論と社会論。頭で語られる理想と、寄り添うはずだった民衆の支持を得られない現実。そのギャップこそがソ連の軋みを炙り出しているようでなりません。天才と秀才が寄ってたかって夢想し、それでいて何もできなかったこの芸術運動は、芸術の社会での在り方そのものまで問うているようです。
実在の不遇の天才建築家を演じた田島亮エナジー。浅野雅博の飄々とした演技も良い。