ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

GS近松商店

日本/’15年公演(再演)/新歌舞伎座公演(鄭義信作・演出)


田舎町で暮らす人々を取り巻く哀しき金と恋の物語。初演はテント芝居な、近松門左衛門の「曾根崎心中」と「女殺油地獄」をベースにした作品です。
故郷は息の詰まる場所であり、抜け出すには死しかない。そんな悲劇を逆に「生」のたくましさで描き切るのは鄭戯曲だからこそ。ダメな人しかいないけど、悪い人はいなくて、だからこそしんどくて、苦しくて。逃げればいいとは簡単に言えるけれど、「場」を失う恐怖は尋常じゃない。
ガソリンまみれの観月ありさの色気。