ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「みちゆき」


日本/公演終了/地点(松原俊太郎作、三浦基演出)


寄せては返す波が届ける死者の声を聞く人々。上演を前提としたAAF戯曲賞受賞作を「地点」が上演した作品です。
映像とのコラボレーション。スクリーンに浮かぶ影はそのまま死者を連想させるとともに、人数分立てられたマイクが声を拾ったり拾わなかったりするのはその声の発信点がおぼろげである印象を持たせます。手回しライトをもった男は、行方不明者の捜索に出るような服装をしながらも、その声を消し去る(抱え込む)波に優しく御礼を言う。あれから5年経った今を切り取る作品でしたが、もっと言葉があっても良かったと思います。
いつでも魅力的な安部聡子の声とその佇まい。