ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「かがみのかなたはたなかのなかに」

日本/'15年公演/新国立劇場(長塚圭史作・演出)


戦地へ旅立つ海兵の前に現れた鏡の世界と女をめぐる物語。「未来のおとなと、かつての子どもたちへ」と銘打たれた作品です。
残る後味は「えぐみ」が近い。わかりやすい演出で音楽やダンスもあり、確かに年少者も楽しめる作りとなっています。ただ、お洒落な雰囲気にカモフラージュされたブラックな部分を垣間見たときのこの感触。おとぎ話のように描かれるからこそ背筋のヒヤリ感は増幅されるのかもしれません。トランスを起こすすべてのものは、戦争の影を見る男の妄想だったのか、それとも。
バレエの首藤康之、ダンスの近藤良平、演劇の長塚圭史、そして松たか子異種格闘技の妙。