ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「透明人間」


日本/公演中(多演)/劇団唐組(唐十郎作、唐十郎+久保井研演出)


狂犬病の疑いをかけられたかつての飼い犬の面影を女に見る男と保健所の男のにらみ合いは、いつしか戦時中へと舞台は誘われる。唐十郎率いる紅テント、初観劇です。
生で観る唐の芝居は結局わけがわからず、そのエネルギーに酔えればそれで良し。ただ、もっと刺激を求める自分がいました。舞台上から殴りかかられるような緊張感ある猥雑さというものはなかったのが残念。しかし、言い尽くされていることですが、桟敷に詰め込まれて観るテント芝居には演劇の根源をみた気がします。雑司が谷鬼子母神の境内にそびえる紅色をみるだけで高揚感を覚えるのは確か。
稲荷卓央、唐不在のなかで存在感を見せつける。ヒロイン藤井由紀も美しい。