ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「酒と涙とジキルとハイド」

日本/'14年製作/ホリプロ(三谷幸喜作・演出)


人格を分離させる薬の開発に失敗したジキル博士が売れない役者に学会発表での別人格役を依頼したことから巻き起こるドタバタ喜劇。
近年上質な人間ドラマにシフトしていた三谷が身体をはったギャグ芝居を書いたという。「ジキル博士とハイド氏」を元ネタにやりたい放題、もはやコントといった方がいいのかもしれません。人間の二面性への掘り下げは興味深いところでしたが、何より問題はギャグがあまり爆発していない点にあると思うのです。異種格闘技のようなキャスティングだけれどキャリアは十分、なのにこのやりきれて無さは何故。
ナイーヴな片岡愛之助は確かに巧いのだが、多分芝居をしようとし過ぎなんだと思う。藤井隆と優香もそう。自分のテリトリーに引き込めなかったのだろうか。