「あ・うん」
日本/'89年製作/降旗康男監督
家族ぐるみの付き合いを永年続ける戦友とその家族のプラトニック・ラヴを描く。向田邦子の同名小説の映画化です。
みんなわかっているのに決して実らない想い。否、実ってしまうとその想いは崩れてしまうのかもしれません。誰かを愛するということは、それが主役でなくてたとえ脇役であったとしても、あまりにドラマチックで。日常に根付けば根付くほどそのドラマ性はより輝きを増す。恋や愛は何者にも勝るというのはあまりに拙く、あ・うんの呼吸の仲が何者にも代え難いという方を推します。
こんなに可愛らしい高倉健は初めて。人柄の良さが滲み出る板東英二に夢見る少女の富田靖子。しかし誰よりも富司純子。彼らのような歳のとり方がしたいものです。