ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「一枚のハガキ」

一枚のハガキ【DVD】
日本/'11年製作/新藤兼人監督


戦友が返せずにいたハガキを頼りに訪れた男とその戦友の妻を通して戦争の暴力的な不条理を描く。巨匠新藤兼人の遺作となった作品です。
はっきりいってこの映画、僕にはよく伝わってこずキネ旬1位というのは首を傾げてしまうのですが、根底にある"叫び"はよく分かりました。戦前・戦中・戦後と時間軸は1本に繋がっているのだけれど、人生がブツ切りになった人間はどれくらいいたのかしら。印象的なのは出兵する男を送り出す列が同じカットをワイプで白木の箱に変わるシーン。このユーモアは少し笑ってからじっくり考えたらいいと思う。
豊川悦司大竹しのぶというアクの強さ。それさえも薄まる脚本力。いやはや日本現役最高齢監督は伊達じゃない。