内容が不適切だという中学校の文化祭用台本を巡って、教師と生徒それぞれのエゴがぶつかり合う。名古屋の「劇団うりんこ」が大注目株の「ままごと」柴幸男を作演に迎えた作品です。うりんこ初観劇、全国公演もあるそうで。
一見互いの立場を確認しつつ妥協点を模索しているようだが、正確にはこれは「文化祭」を人質とした強迫合戦です。自由と信念をどのように同じ土俵に立たせるかを観客に問う、というのが本論。普遍的で刺激的なテーマなのに、しかし設定を中学校にしてしまったためその論点が「義務教育における義務と権利」にずれてしまいました。そこを省いての議論は核心に欠くのではないでしょうか。
役者はまだまだ向上の余地があるようです。でもその熱意と熱量は伝わる。なお、持ち小屋にしては素晴らしい劇場だということを特筆しておきます。