ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「無限遠点」


日本/公演終了(ソワレ)/虚構オメガ(長谷川公次郎作・演出)


前世の記憶に蝕まれた少女とバナナの皮が引き起こした事故に巻き込まれた人々との再生の物語。名古屋の劇団「虚構オメガ」による「あいちトリエンナーレ」パートナーシップ事業提携の「アイマスク着用、音のみ」公演です。初観劇。
SFチックで静かに軋む心の機微、ということで「イキウメ」に近い作風。内容も思うところはあれど演出手法の印象が勝るのは仕方ないですね。視覚を奪われることで研ぎ澄まされる聴覚と皮膚感覚。空気の動きから役者を認識し、声から表面的・内面的感情とを読み取る。その効果が満足に活かされていたとは言わないが、演劇における「想像力」がどういうものなのかを考える良い機会となりました。
群像劇というよりオムニバスのような感触。追い詰められ錯乱し、大事な糸がプツンと切れてしまった少女中村役・宮出貴衣の温かさ。