ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「舟を編む」

日本/'13年製作/石井裕也監督


出版社の一部署が辞書を編纂するまでの長期にわたる悪戦苦闘ぶりを描く。三浦しをんのベストセラー小説の映画化です。
そもそも辞書が面白いというのを発見したのは赤瀬川源平の功績で。堅くて無機質な文字の組み合わせが「言葉」であり、「言葉」は時代とともに変化もするし誤用もされる。辞書にとって大切なのはその良し悪しではなく、文字の海の中で適切な言葉を拾うための"舟"として役立ててもらうこと。だから「生きた言葉」を綴る「生きた辞書」を作りたいというその思いに打たれ、共感し、応援したくなるのです。言葉は留めておくのではなく使わないと、というのも素敵。
松田龍平オダギリジョー加藤剛小林薫鶴見辰吾。恥ずかしくなるほどストイックなおとこたちがみんな魅力的。もちろん女性も。