ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「Right Eye」

日本/'98年公演/NODA・MAP(野田秀樹作・演出)


劇作家の失われた右目と、彼の描く内戦最中のカンボジアを撮影したジャーナリストの一眼レフの世界。NODA・MAPの番外公演です。
野田自身の右目失明の経験をもとに演劇的手法を最大限に使用して紡ぎ出される物語を、野田自ら遊び心たっぷりに「ノンフィクション演劇」と表現する。観客は次第に、死んだジャーナリストの持っていたカメラのファインダーを通して、そしては野田の失われた右目を通して、その物語を「覗き込」んでいるように感じる。「覗き込む」というのは僕がNODA・MAP作品に常々感じていた印象であり、その言葉がキーワードに使われたNODA・MAP作品を観て、少しだけ野田ワールドを共有できた気になりました。
言葉遊びよりも見せ方重視。3人の役者の切り替えと同化の運びが美しかったです。