ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「農業少女」

日本/'00年公演/NODA・MAP(野田秀樹作・演出)


田舎から家出してきた自由奔放な少女を取り巻く様々な思惑の大人たちの彼女への想いと彼女の思い。野田地図番外公演な4人芝居です。
テーマがストレートで野田芝居にしてはわかりやすかったです。かなりの社会派作品でした。"流行"を危険なものだと訴える人々は多けれど、日本古来からある"農業"さえも流行の波に飲み込まれてしまう現実。サッカーの日本コールに疑問を呈し、ナタデココナチスを結びつける。農業が嫌で東京に憧れを持った少女は人間の声を失くし農業へと帰ってくる。まあ、ただそこに安易な幸福を描き出さないのが野田の良さではあるけれど。
野田らしいけど野田じゃない。感覚で言わせてもらうと「ザ・近年の野田作品」て感じ。かつての「舞台に広がる世界」ではなく「舞台を覗き込んで見える世界」のような。それはそれでアリなんだけれど、遊眠社時代の野田が好きな自分としては微妙に物足りないんですよね。あ、思ったより松尾スズキが良かった。