ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「クロノス」

クロノス (CARAMEL LIBRARY)
日本/'05年公演/演劇集団キャラメルボックス(成井豊作・演出)


事故で死んだ片思いの人を救うべく、自分の身を削って時間移動装置「クロノス・ジョウンター」に乗り続ける男の姿を描く。SF作家梶尾真治の小説を原作とした"クロノス"シリーズの第一作です。
この作品を一言で表すならTHEストーカー物語。主人公はなんか必死だし相手も好意を持っているだろうという前提が観客側にあるからこそ許されるのであって、リアルでいたら絶対引きます。想う人が幸せになれば、それをしてあげるのが自分ではなくても、いいのだという思いが彼を突き動かす。そのひたむきさには心打たれます。でも最後の方は熱意というより狂気といった方が正しいのでは。これを純愛と言っていいのかしら。てか少しは主人公は考えて動けよと言いたい。
成井作品はというべきか梶尾作品はというべきかはわかりませんが、タイムトラベルの定義がどうなってるのか毎度全然伝わってこないのはどういうわけか。パラレルワールド説でも無さそうですし。「突っ込み所が多いのはご愛嬌」では済まないかと。まあそれでもジーンとさせるキャラメルのすごさか。