ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「真情あふるる軽薄さ2001」

真情あふるる軽薄さ2001 [DVD]
日本/'01年公演(再演)/清水邦夫作、蜷川幸雄演出


行列を作る群衆とそこから外れ挑発し続ける青年のやりとりから現代を抉り取る。'69年蜷川幸雄初演出で一躍脚光を浴びたという伝説の舞台を蜷川自ら再演した作品です。
大衆とは。個性とは。関心とは。愛とは。死とは。観客に疑問を投げかけ続ける内容。観客席から芝居が始まる演出からもわかるように、かなり客を意識した舞台となっていました。不条理モノ?けれどその投げられた疑問は初演から40年経った今でも古びることはない。ラスト、突如出現する一面の機動隊の盾から舞台後方が開いてリアルの外界が表れる舞台美術は圧巻。あれはどうやってるのかしら。何より、武器を捨て外の雑踏へと踏み出す少年にとって、それは希望への旅立ちなのか諦めへの帰還なのか。
演技の力強さに押し切られた感じ。高橋洋演じる主人公は最初から最後まで喋りっぱなしですからね。またこれが初舞台となる鶴田真由の色っぽいこと。存在感あり。古田新太はおもしろすぎる。