ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

「表裏源内蛙合戦」


日本/公演中/井上ひさし作、蜷川幸雄演出


江戸の天才で奇人平賀源内の一代記を描く抱腹絶倒音楽劇。井上ひさし×蜷川幸雄タッグの4本目です。井上・蜷川ともに劇場での観劇は初。
初期の井上ひさしらしいどこまでも猥雑でかつ果てしない言葉遊びの洪水。今まで読んだ戯曲の中で一番「スゴイ!」と思った作品でして、蜷川が05年に『天保十二年のシェイクスピア』を打ったときからいつやるのか今か今かと待ち続けてきました。そして、その甲斐あったというものです。蜷川。すごいよ蜷川。上演時間4時間という壮絶な長さを微塵も感じさせないその手練、非常に多い場転を気にさせない手管。そして何より、舞台。開演と同時に思わず驚きとため息と歓声をば。なるほど、"表裏"ですか。むちゃくちゃかっこよかったです。ただ、耳に残るナンバーがなかったのが唯一残念か。
上川隆也よりも僕は勝村政信が好き。声が最高なのは言わずもがな、座席2F最後列からでも表情が見えるかのような演技。素晴らしい。眼福。