ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

アニメ「ゲド戦記」

ゲド戦記 [DVD]
日本/公開中/宮崎吾朗監督


スタジオジブリの新作、監督が宮崎駿の息子、三大ファンタジーの一角の映画化、豪華な声優陣と話題性の尽きない映画を観てきました。初日に観に行きたかったのですが、都合がつかず。ハウルの時ほど力が入ってなかったのも確かですが。1000円で観れたんで良しとしとこう。ネタバレの可能性有りです。長くなりそうですがご容赦を。
さて、まず映画自体についてですが、宮崎駿が試写を観て言った*1通り「素直なつくり」な素朴な作品でした。ジブリの初期の頃のような。宮崎駿の著書「シュナの旅」を原案とした*2のも一因でしょうか。
しかし、原作を知らない観客を無視しすぎです。前後関係が全くわからない。この世界における魔法使いの位置や大賢人ゲドの立派さ、竜の存在など説明一切なし。世界観がわからないのでそれに全く浸れないというのは、ファンタジー物にとって致命的な欠点です。あと前作からの流れ*3を含んだテナーやクモとゲドとの関係もサッパリ。テルーのラストもよくわからなかったし。え、ああいうことになるとテルーって・・・、う〜ん。推察するに、ゴロウ監督はこの映画自体よりも、原作をよりたくさんの人に読んでもらうことを願っていたんじゃないかしら。だから、伏線張っといて・・・ていうのは考えすぎですかね。
ウサギがおもしろかった。もとい、オイシかった。『風の谷のナウシカ』のクロトワ以来のキャラか。香川照之のノリノリの演技がより爆笑を誘います。悪党なのに憎めない。「〜、坊っちゅぁん。」(笑)アレンの顔はいつものジブリにない描き方で、たまに変でした。しわを無理に入れない方がよかったんじゃないかなぁ。
声優陣、前述の香川は置いといて。ヒロイン役の手嶌葵は、普通の芝居では違和感なく。棒読み部分もありますが。作品によって全然違って聞こえる小林薫の声には今回も驚きました。菅原文太は『千と千尋〜』の釜爺の時の方が良かったな。
さて、本編よりも見所の(失礼!)ゴロウ監督とお父さんの関係性ですが。「シュナ〜」だけでなくて、『〜ナウシカ*4や『もののけ姫』、『千と千尋〜』*5を感じさせる場面も多数あり。影響受けてるというよりも、なぞらえている?独自の色が感じられなく、これでは宮崎駿でない別の人が監督をした必要性がなかったです。しかし、ひとつ細かいところで独自色を。最後が宮崎駿は「おわり」なのに対して、ゴロウ監督は「終。」でした!こんなところで、と言いたいところですが、まぁ深い意図は無いんじゃないかな。
最後に、未確認情報ですが、ゴロウ監督の第二作目は浦沢直樹×手塚治虫の超話題作漫画「PLUTO」だとか。観たい!、けど観たくない(笑)どうせならゴロウくんもジブリという父の掌から飛び出して作ったらどうでしょう。個人的にはプロダクションI.G.で、超ハイクオリティで映画化してほしいな。
以上、深夜眠い中書いているので支離滅裂かもしれない感想でした。これだけボロクソに言ってますが、つまらなくはなかったですよ。ただ「ジブリ」作品じゃなくても問題なさそうな、「普通のアニメ映画だった」だけで。読んでくれた方、どうもありがとう

*1:試写後数日たって「素直なつくりで、良かった。」といった伝言が伝わったそうで。しかし、これだけでは「素直なつくり」が「(つくり方として)良かった」のか、「素直なつくり」で「(映画自体が)良かった」のかわからない(笑)これは駿サン自身にしかわからない。

*2:観ていて気づきますが、クレジットにも明記されていました。

*3:この『ゲド戦記』は、原作の第3巻をメインに構成されているということで、第1,2巻がある上での話となるので、こういうことが起こる。

*4:「ゲド」=「ユパ」。廃墟と化した民家に足を踏み入れるシーンとか。

*5:これなんかまんま。「私の本当の名は、ニギハヤミコハクヌシ!」