ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

演劇

エゴ・サーチ

日本/’10年公演/虚構の劇団(鴻上尚史作・演出) 筆の進まない作家が自分をかたるブログを見つけたことで失われた記憶が呼び覚まされる。 いまや「エゴサ」は一般用語に近い認知度となっているけれど上演当時はまだそれほどでもなかった気がします。鴻上…

監視カメラが忘れたアリア

日本/’10年公演(再演)/虚構の劇団(鴻上尚史作・演出) 防犯を目的とした監視カメラに見守られる日本で生きる若者たちの秘密を描く。旗揚げ作品『グローブ・ジャングル』、第2作『リアリティ・ショウ』に続く3部作だとか。旗揚げ準備公演としても上演…

リアリティ・ショウ

日本/’08年公演/虚構の劇団(鴻上尚史作・演出) ネット企画で24時間生活と稽古を配信される若手劇団の1か月を描く。 演劇と恋愛とカルト宗教という今作の3題噺は、すべてがリアルでありフィクションでもあるもの。つまり、そのまま「リアリティ・ショ…

グローブ・ジャングル

日本/’08年公演/虚構の劇団(鴻上尚史作・演出) 人間関係に悩む人々が偶然集まった異国の街で子供向けの演劇をはじめる。鴻上尚史が若手と立ち上げた新劇団の旗揚げ作品です、初見。 鴻上本人の作品だと言われなければ、きっと鴻上テイストにかぶれた学…

戦国BASARA

日本/’09年公演/舞台「戦国BASARA」製作委員会(西田大輔作・演出) 歴史ブームの立役者のひとつであるカプコンの同名アクションゲームの舞台化です。 6本の方を持って「レッツ、パーティー」と叫ぶ、という程度の予備知識しかなく観たからかさっぱり入…

残火

日本/公演中/廃墟文藝部(斜田章大作・演出) 昭和と平成の境目に生まれた世代が見つめる平成史。名古屋の劇団「廃墟文藝部」によるコロナ禍での延期公演です。 2つのターニングポイントとなる震災と、これから必ずくるといわれる大地震を軸に描かれるも…

BOAT

日本/’18年上演/東京芸術劇場(藤田貴大作・演出) どこかの島で暮らす人々と忍び寄る戦争の影。「マームとジプシー」の藤田貴大による東京芸術劇場主催公演です。 現在のウクライナ情勢のもとで、この作品から感じ取られるものは大きく変わったように思…

日本/’21年上演/ティーファクトリー(川村毅作・演出) 死刑制度の前で、悩みぬく者たちの姿を描く。2012年に白井晃演出で初演され、その後様々なかたちで上演されてきた作品を川村毅自身が初演出したものです。 詳細は語られずとも、犯罪被害者たちのセ…

死なない男は棺桶で二度寝する

日本/’17年上演(再演)/劇団ポップンマッシュルームチキン野郎(吹原幸太作・演出) 不老不死になってしまった男が素性を隠して永遠の命を生きる。 おバカな展開と安っぽい扮装でそこはかとなくB級っぽく進行するも、そこで描かれる物語は深く、人気劇…

DROP

日本/’08年上演/Kentaro Kobayashi Solo Performance Live Potsunen(小林賢太郎作・演出) 感想、後ほど。。。

夫のオリカタ

日本/公演中/劇団蒼天の猫標識(作・演出 いば正人) 子供たちの集まる駄菓子屋の2階で折り紙を折りながら夫婦が織りなす物語。いば正人による外部への戯曲提供作をセルフリメイクしたものです。 ファンタジー要素を帯びつつも、タイトルさながら想いも機…

笑の大学

日本/’96年公演/パルコ(三谷幸喜作、山田和也演出) 太平洋戦争の最中、浅草で軽演劇活動を行う座付き作家と検閲官との攻防を描く。以前に再演版を観ているも初演版は初見です。 14年前に観たときよりも粗削りな印象だったのですが、上演年に違いがあっ…

AD-LIVE2016

日本/’16年公演/AD-LIVE Project(鈴村健一作・演出) 睡眠状態から醒めない友人を救うべく新技術により心の中に会いに行く。鈴村健一がプロデュースする声優陣によるアドリブ劇の2016年9月10日キャスト版を鑑賞。 大まかな設定とストーリーに沿い、2人…

天守物語

日本/’11年公演/新国立劇場(泉鏡花作、白井晃演出) 姫路城の天守に巣食う魔物と地上の鷹匠との恋愛模様。1917年に発表されたが、モノの本によると初演は1950年代だとか。 妖しさ満点、海外ものであればダークファンタジーとジャンル付けたいけど、この…

風の谷のナウシカ

日本/’19年公演/松竹(丹羽圭子・戸部和久作、G2演出) 世界の真実を解き明かすべく立ち向かう少女の姿を通して人と自然の共生を描く。同名アニメ映画の原作でもある宮崎駿による漫画全7巻を新作歌舞伎として上演したものです。 通しで7時間に及ぶ超大…

Cat in the Red Boots

日本/’07年公演/劇団☆新感線(戸田山雅司作、いのうえひでのり演出) 魔法の赤い長靴をはいた猫に導かれた平凡な青年が、物語の主人公になるまでを描く。 ヨーロッパの童話や民話などを散りばめたミュージカル調ファンタジー活劇。当たり障りのないスト…

はいからさんが通る

日本/’20年公演(再演)/宝塚歌劇団花組(小柳奈穂子作・演出) 動乱の大正期に運命を翻弄されるはいからさんと青年将校の恋愛模様を描く。大和和紀による同名漫画を宝塚歌劇団が舞台化したものです。 文明開化の明治を経て女性の権利が大きく謳われた時…

畜生たちの楽園

日本/公演終了(ソワレ)/劇団不労社(西田悠哉作・演出) 人里離れたコミューンで繰り広げられる惨劇。劇場主催の「次世代応援企画break a leg」選出劇団による公演です。 新興宗教の雰囲気漂う閉鎖的な共同体に流入してくる人々は、次第にその価値判断が…

走れメルス~少女の唇からはダイナマイト!

日本/’04年公演/NODA・MAP(野田秀樹作・演出) 下着泥棒と青春に縛られた女の鏡越しの情愛を描く。観るのは3度目です。 未だ見ぬ君に恋焦がれ、その蜉蝣を追い求め続ける青春の焔は、死の匂いと相まって、美しく儚く狂おしい。淡く切ない恋愛模様を初…

波のような人

日本/公演終了(マチネ)/ヌトミック+細井美裕(作・演出 額田大志) F・カフカの「変身」を原案とし、姿を消した兄の発する音のみが聴こえる家庭を描く。 副題は「マルチチャンネルスピーカーと俳優のための演劇作品」で、音楽を作演でもある額田が、サ…

ラ・ボエーム

日本/公演終了/藤原歌劇団(G・プッチーニ作、岩田達宗演出) パリの屋根裏部屋で共同生活をおくる貧しい詩人が、訪ねてきたお針子と恋に落ち、永遠の別れを迎えるまでを描く。公益財団法人日本オペラ振興会西洋オペラ部門である「藤原歌劇団」の愛知公演…

髑髏城の七人 Season花

日本/’17年上演/TBS(中島かずき作、いのうえひでのり演出) 信長亡き後、荒野の関東で第六天魔王を名乗る男の暴走をとめるべく立ち上がる7人の姿を描く。劇団☆新感線が7年に一度上演する人気作の劇場こけら落とし連続シリーズ第一弾です。 前作から6…

グッド・バイ

日本/上演中(再演)/地点(三浦基作・演出) 太宰治の遺作となった未完成の小説を「地点」が上演した作品です。 横一列のバーカウンターに大正・昭和初期の衣装をまとった役者がずらりと並び、壁の上では「空間現代」が生演奏する空間構成。登場人物は「…

私たちは何も知らない

日本/’19年公演/二兎社(永井愛作・演出) 世の婦人が立ち上がるきっかけとなった雑誌「青鞜」をつくった人々の群像劇。 教科書では一文で終わる出来事にも背景がある。「平塚らいてふ」という単語に血が通い、共に歩みまたは袂を別った人々と闊達に議論…

ドクター・ホフマンのサナトリウム

日本/’19年公演/KAAT神奈川芸術劇場プロデュース(ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出) フランツ・カフカの第四の未発表長編作品が発見されたことから、場所や時代が迷子になっていく。 不条理なカフカを不条理なKERAが描く、これまさに不条理演劇。…

掬う

日本/’19年公演/□字ック(山田佳奈作・演出) 病床の父親をめぐって浮かび上がる「家族」の在り方。□字ック、初鑑賞。 心の濁ったところを”掬う”かのように、ずっしりえぐりにくる人間ドラマ。自分のことしか考えられない不器用な家系が、家族だからとい…

黒い砂礫

日本/公演中/オレンヂスタ(ニノキノコスター作・演出) 愛する人を亡くしたK2を目指す山岳家たちの物語。 なぜ命を賭けてまで山に登るのか。自然への挑戦、自分探し、お金儲け。そのどれもが絡み合わないとスタート地点にすら立てないのが世界最高峰級の…

ラクダ

日本/公演中(ソワレ)/16号室(八代将弥a.k.a.SABO作・演出) 女たらしのマスターの居るカフェバーに集まる女たちの狂気と愛。名古屋の劇団「room16」の作品を後身の企画団体により上演した作品です。ケースBのキャストで、初観劇。 演劇よりも映画で観…

機械と音楽

日本/’19年公演(再演)/serial number(詩森ろば作・演出) ロシア革命前後に起こった芸術運動「ロシア・アヴァンギャルド」のなかで理想と現実の狭間に揺れた建築家たちの物語。風琴工房あらためserial numberは初鑑賞です。 共産主義と社会主義の違い…

引き波に乗る蜘蛛

日本/公演終了(ソワレ)/劇団飛び道具(大内卓作・演出) 演劇と仕事と家庭に追われる遅筆の劇作家が書き上げた一本の作品とその過程を描く。京都の劇団、初観劇です。 セミプロとして活動する多くの演劇関係者は、もちろん生活者でもある。才能がなくて…