AD-LIVE2016
日本/’16年公演/AD-LIVE Project(鈴村健一作・演出)
睡眠状態から醒めない友人を救うべく新技術により心の中に会いに行く。鈴村健一がプロデュースする声優陣によるアドリブ劇の2016年9月10日キャスト版を鑑賞。
大まかな設定とストーリーに沿い、2人の出演者による90分間1本勝負。進行のためのレールがしっかり敷かれているのでほとんどグズつかないことと、演者のキャラクターづけが達者で、アドリブとはいいつつも安心して楽しめるエンターテインメント性の高い作品でした。お題の書いた紙束の入ったカバンを肩からかけており、それが偶発的かつ絶妙なアシストとなるのは発想の勝利。
鈴村健一と寺島拓篤の売れない芸人愛が微笑ましい。
アンダーグラウンド
仏/’95年製作/エミール・クストリッツァ監督
旧ユーゴスラヴィアの激動の時代を描く。カンヌ映画祭パルムドール受賞作です。
エンターテインメント性を保つユーモアと、それに埋没させない悲劇を、ギリギリのバランスで語り抜く圧倒的なエネルギー。民族、宗教、イデオロギーetc、どこから切り取っても難しく、現代に至るまで混乱を生み続けているユーゴスラヴィア問題だけれども、こういった作品により「昔、あるところに国があった」と”記憶”と”記録”に残すことは大事なことだと思います。
マルコ役ミキ・マイノロヴィチ、クロ役ラザル・リストフスキー、ナタリア役ミリャナ・ヤコヴィチ。
風の谷のナウシカ
日本/’19年公演/松竹(丹羽圭子・戸部和久作、G2演出)
世界の真実を解き明かすべく立ち向かう少女の姿を通して人と自然の共生を描く。同名アニメ映画の原作でもある宮崎駿による漫画全7巻を新作歌舞伎として上演したものです。
通しで7時間に及ぶ超大作。映画で描かれたのは原作の2巻までで、その結論を根本から揺るがす事態が判明する残りの5巻分も含めて上演した力技に驚嘆です。歌舞伎の定番を織り交ぜたエンターテインメント作品の色が強いのと、G2らしい大味な演出とはいえ、こういうアプローチは様々あってもいい。歌舞伎とアニメは「紙芝居」という意味で相性が良いのかもしれません。
ナウシカ役に尾上菊之助、クシャナ役に中村七之助。