運び屋
米/’18年製作/クリント・イーストウッド監督
家族を顧みなかった退役軍人が麻薬の運び屋をやりながら関係を修復していく。
金と時間を費やした事業に失敗したところを、無事故無違反の優良ドライバーとして麻薬組織に腕を見込まれる90歳という設定は良い塩梅にとぼけていて秀逸です。プライドが高く社交的な性格により、家で役に立てない自分を認められずにいたが、家族の大切さに気付くことで、晩年でありながら前時代的な思想をアップデートしながら未来に生きる姿に胸をうたれる。
老いぼれのタフガイ、クリント・イーストウッド。乙女のようなダイアン・ウィースト。
グラン・トリノ
米/’08年製作/クリント・イーストウッド監督
自動車会社を退職した偏屈な男が、隣家の青年と交流することで他人と触れ合う大切さを思い出していく。
過去の栄光と現在の誇りを象徴するアイテムとして登場するフォードの「グラン・トリノ」が主役を喰うほどの存在感を見せつける。戦争の後遺症を克服するというのはよくある話だけれど、年の離れた”友人”のため武器を手放してまで単身で乗り込んでいく姿は、これまでのイーストウッドを思い浮かべても衝撃的。タフガイではないかっこよさを描いていたのがよかった。
見事なクリント・イーストウッド。ビー・バンとアーニー・ハーも好感がもてるキャラクター。