グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札
仏/’13年製作/オリヴィエ・ダアン監督
ハリウッドスターからモナコ公国のプリンセスとなった世紀のヒロインが、国の危機に立ち向かう。
グレース・ケリーの実話をもとにしたフィクション。国と家族が同じ単位で語られる日常というのは想像が及びません。「おとぎ話」を現実でも夢見続けるには覚悟がいるということ。郷に入っては郷に従えとよく言うけれど、郷に従ったうえで自分を貫き通すのは何という信念と決意か。ハリウッド復帰を蹴り生涯公妃という役を演じきったグレースは、自分自身の居場所を「おとぎ話」の中に見出したと言えるでしょう。
最初から最後までニコール・キッドマン。
GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0
日本/’08年製作/押井守監督
1995年に製作されたアニメ映画にエフェクト処理等を加えたリニューアル版。
内容はさておき。かつての作品をベースに、CGが追加されたり、新たにアフレコされたりしたそうで、デジタル・リマスター版が一般的になるなかでこういう形もあるのかとまずは驚き。さまざまな技術が進化していくと、実写もアニメも古くなる。それを味と捉えたり、仕方のないことと終わらせるのは簡単だが、抗う方法を考えるのも悪くない。とはいえ、もう少しできることがあるんじゃないかなとも思う。
人形使い役が家弓家正から榊原良子へ変更。家弓の代表作のひとつでもあったので残念でありつつ、変更した効果も今一つピンとこず。アニメ映画は役の差し替えが比較的容易で、こちらも悩み深い。
紅の豚
日本/’92年製作/宮崎駿監督
アドリア海を舞台に、豚の姿をした賞金稼ぎをはじめとした誇り高き飛行艇乗りの姿を描く。宮崎駿の漫画を原作としたスタジオジブリ作品です。
もう何度観たかわかりませんが、とにかく昨日亡くなられた森山周一郎を偲んでの再鑑賞。小学生で初めて観たときはコミカルな描写に笑いつつダンディズムにしびれていましたが、年齢を重ねるにつれて哀愁と男女の機微に震えるようになりました。糸井重里によるコピー「カッコイイとは、こういうことさ」のダサかっこよさがやっとわかってきたとも言えます。できることなら赤ワイン片手に泣きたかった。合唱。
森山、大塚明夫、上條恒彦の声に包まれているだけで嬉しい。