ドライヴ
米/’11年製作/ニコラス・ウィンディング・レフン監督
運転技術に秀でた男が恋に落ちた女性を助けるため命をかける。カンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品です。
表稼業は自動車修理工とカースタント、裏ではどんな危険な状況でも指定地点まで車を走らせる逃がし屋として生きる冴えない寡黙な男は亭主と子供を持つ隣人の女に惚れてしまう。日常の楽しさを教えてくれた女、働く場所をくれた工場長。そんな温もりを裏社会の抗争でことごとく壊された怒りから、映画は一気にバイオレンス色を帯びる。きつめの色味と乾いた空気が画面のかっこよさを際立たせ、痺れ薬のように身体を蝕む作品でした。
二面性をもつ主人公をライアン・ゴズリング。ヒロインにキャリー・マリガン。
パラサイト 半地下の家族
韓/’19年製作/ポン・ジュノ監督
貧民街に暮らす家族が裕福な家庭に寄生していく。外国語映画初のアカデミー作品賞に輝いた記念碑的作品です。
貧富の差を軽妙に、そして会心の一撃をもって描いた作品。韓国だけではない社会問題であることが世界的評価につながったのでしょう。恵まれた生活にとってかわろうという気概はなく、ただしがみつくだけというのが現実的。問題はお金でも生活の質でもなく、沁みついた臭いである。洗っても消えず宿主の汁をすすることを選ぶ。最後、青年が未来を描こうとする安直なハッピーエンドと、それを許さなそうな映像がニクい。
軽重自在に演じ分けるソン・ガンホ。息子がチェ・ウシク、娘にパク・ソダム。
オーシャンズ11
日本/’19年公演(再々演)/宝塚歌劇団宙組(小池修一郎作・演出)
最愛のパートナーを奪われそうになった詐欺師がラスベガスのカジノの金庫を狙って仲間を集める。大ヒットを記録したハリウッド映画を宝塚がミュージカル化した作品です。2011年に星組、2013年に花組が上演。
ベガスの蠱惑な世界が女性のみの華やかなショーにマッチ。鮮やかな詐欺よりも男女の恋話をフォーカスし、それはそれで作品に合っていたように思います。ただ、見せ場もメインキャストも多いストーリーのため少々雑駁な印象。個性豊かな11人のチームワークがあまり見えなかったのはスターシステムの弊害でもありました。それでも映画では味わえない揃い踏みの立ち絵のカッコよさは格別です。
主人公に真風涼帆、ヒロインに星風まどか、親友ラスティーは芹香斗亜。