raw 精神と肉体の展覧会
日本/公演終了/HI×TO
「精神と肉体の展覧会」と銘打ったダンス公演。結成まもない団体、初鑑賞。
客席に挟まれたランウェイのようなステージに、ペンキにまみれた裸の女性が座っている。その周りを黒に身を包んだ人々が身体を動かすコンテンポラリー作品。ダンスは門外漢で見慣れないのですが、突き詰められた肉体の隅々を眺められるというのは、彫刻展示を観覧するのとはまた違う充足感が得られます。特に今作は「展覧会」ということだったので、欲を言えばオールスタンディングでホール内を自由に歩けたら嬉しかった。
庄波希、新宅加奈子。
マッチ売りの少女
日本/公演中(マチネ)/劇団不労社(別役実作、西田悠哉演出)
大晦日の夜、平凡な夫婦の夜のお茶会にストレンジャーが現れる不条理劇。別役の代表作のひとつを大阪の劇団が京都で上演したものです。
以前に映像で観た作品より小劇場風味で、それが効果的だったかというと少し微妙なところ。童話「マッチ売りの少女」を下敷きにしたグロテスクなユーモアがもっとえぐりに来てくれてもよかったのに。余計と思われる付け足しが気になってしまうのが拭えませんでした。外の寒さと室内の暖かさ、社会の寒さと家族の温かさ、そこにあるヒヤリとしたもの。新年より年末に観たい芝居。
夫婦に西田悠哉と宮前旅宇、ストレンジャーに村田千晶とイトヲ。
ムンク|幽霊|イプセン 美術館パフォーマンス
日本/公演中/第七劇場×愛知県芸術劇場×愛知県美術館(E.ムンク・H.イプセン原作、鳴海康平演出)
ムンクの絵画をモチーフに、ムンクのことばを紡ぐ美術館内でのモノローグパフォーマンス。
イプセン「幽霊」を題材にした絵画を新たに所蔵したことにより、美術館と劇場の複合施設であることを活かしたコラボ企画。あわせて劇場では「幽霊」の上演もあり。こういった取り組みは他ジャンルの接続に非常に有意義だと思うので是非適宜行って欲しい。パフォーマンスは、ムンクの人となりの前知識がないと何が何やら、わかる前に終わってしまうので、こちらにも一展示という意味でキュレーションが必要だったのでは。
配役表を配って欲しかった。
ブレードランナー2049
米/’17年製作/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
前作『ブレードランナー』から30年後のアメリカを舞台に、人造人間を取り巻く陰謀を描く。
世界観やシナリオを引き継ぐ正統な続編。ウトウトしながら観てしまいストーリーは断片的にしか掴めずも、消息を絶った前作の主人公デッカードがキーパーソンとなり、生命や進化の在り方を問う。現代のAIにも通じる根源的なテーマは観る側の脳を刺激するのは確か。ただ映像への驚きやワクワクはあまりなく、ただただ暗い雰囲気に打ちのめされるばかりでした。ヒロインが非実在という発想は面白い。
ライアン・ゴズリングとアナ・デ・アルマス。デッカードはもちろんハリソン・フォードが続投。