ノブをまわすと

その日観た映画や、演劇をはじめとした舞台公演に、ちょっとした感想でも。

日の名残り

日の名残り [DVD]
米・英/’93年製作/ジェームズ・アイボリー監督


イギリスの貴族のもとで働いていた執事が思い出す昔日。ノーベル賞作家カズオ・イシグロの小説を映画化したものです。
じっくり、たっぷり、文芸作品。自分の考えを押し殺すことが執事の「品格」であると信じる男は、かつて心を揺らした女性のもとへと旅をする。ただ「あなたが必要だ」と言うだけなのにどうしても言えない男の姿を、映像と表情の機微だけで語る映画の「品格」を観ました。
アンソニー・ホプキンス、まごうことなき名優。

シンプル・プラン

A Simple Plan [DVD]
米/’98年製作/サム・ライミ監督


墜落した飛行機から大金をみつけた男たちの平凡な人生が狂っていく。
このままでいたくないという欲望が、犯罪の連鎖を生む。単純な計画だったはずが行き当たりばったりにどんどん悪い方悪い方へ進んでいき、最後はカタルシスなく終わる。とはいっても、無関係な人間を含めて5人も死人が出ているのに、こんなラストでいいのかしら。
ビル・パクストンの嫌味な感じが邪魔をする。

快盗ルビイ

快盗ルビイ [DVD]
日本/’88年製作/和田誠監督


上階に引っ越してきた女と冴えない男が一緒に怪盗を目指す。マルチクリエイター和田誠の第2作目です。
時代性というものもあり古くなってしまった部分は多いですが、邦画ではいまだ珍しいほどのお洒落な映画。詐欺や銀行強盗、空き巣などの犯罪行為がまるでおままごとのように微笑ましく、ふたりの関係にやきもきしながら、登場人物さながらにルビイの魅力に心奪われていく。
小泉今日子の奔放な愛らしさと真田広之のナヨナヨ演技。

ヒトラー暗殺、13分の誤算

ヒトラー暗殺、13分の誤算 [DVD]
独/’15年製作/オリバー・ヒルシュビーゲル監督


ヒトラーの演説会会場に爆弾を仕掛けた男の数奇な半生を描く。
ひとくくりの単語で終わらせがちなナチスレジスタンスを、映画となることでフィクションではあるけれども、人間として認識できるその効果は素晴らしいと思います。ただ、作品としてはイマイチ乗れず。運命のいたずらに翻弄される男が凶行にいたったこと、その説明で終わってしまったように感じます。人間同士の物語であるならば「テロリスト」という単語は何をどのようにくくるのかという思いを持ちながら観ていました。
クリスティアン・フリーデル

オースティン・パワーズ

オースティン・パワーズ(字幕版)
米/’97年製作/ジェイ・ローチ監督


人気絶頂だったスパイがコールドスリープで新たな時代に現れ大暴れ。人気シリーズの第一作です。
007やビートルズなどパロディ満載のお下劣おバカ映画。アメリカンジョークの面白さはわからないところが多いものの、そのポップなセンスは認めざるを得ません。公開から20年以上経っており、劇中設定のカルチャーギャップからさらにギャップが生まれているなかで作品としての質は落ちているけれども、それはコメディの宿命。こういう映画が時代時代に現れてくることが必要なんだと思います。
やりたい放題マイク・マイヤーズ